■ 根寿徒然(こんじゅつれづれ)は、カウンセラーからのメッセージです
カウンセラーとして、いつも大切にしていることを記します。
カウンセラーと直接会ったり、電話で話すことが不安な方は、まずこのページをご覧ください。カウンセラーの知識や考え方、人柄の一部を知ることができると思います。
また、根寿苑では、出張訪問と電話によるカウンセリングを実施していますが、出張訪問の場合は、出張料をカウンセリング料金に含めているために少々高額となります。ただ、カウンセリング料金の全国平均が、1時間あたり5,000円~15,000円であることを考えると出張料を含めて決して高額な設定ではありません。
しかし、精神的に悩みを抱えている方の多くは、経済的にも悩みを抱えていて、簡単には質のよいカウンセリングが受けられない状況にあります。
そのようなことも考慮して、まずはこのページを読んでいただくことにより、問題解決への手がかりを手に入れていただけたらと思います。
どうぞ、このページを何回も読んで考え、必要に応じて疑問点をインターネットでの検索や書籍等を利用して解決してください。
それでも解決ができないのなら、根寿苑へカウンセリングを申し込んでみてください。
このページが、あなたの問題解決の一助になれば幸いです。
生育歴における心の傷は、心の悩みに大きく影響します。また、ほとんどの犯罪の奥底に潜む、重大な問題であることが分かっています。
生育歴において、心に傷がない人はほとんどいません。ただ、個人によって傷の大きさや深さに程度の違いがあるだけです。また、傷を受けた本人の受け止め方で、傷の大きさと深さは違ってきます。
では、生育歴においてなぜ、心の傷がついてしまうのかを説明します。
まず、どの家庭でも家族同士での言い争いや喧嘩は、大なり小なりあるものです。
これは、親子や兄弟は、家族として毎日一緒に寝食を共にして暮らすために、当然、良くも悪くも親密な関係になります。そのために生活の色々な場面で心を許して本心をさらけ出し、互いの本音で語り合います。しかし、そもそも人には、それぞれ考え方や理想があり、互いに一致することは難しいものです。それが、ときには互いに譲歩ができなくなり、自らの正当性を押し通したくなるがために喧嘩となるのです。
このような言い争いが起るのは、家族一人一人の性別や年齢による経験や取得した知識・知恵、人格・性格による違いによるもので簡単には解決ができません。
そして、人間に感情がある限り、喜怒哀楽があります。
このために、不完全であるがゆえに正しい判断や理想からはずれて、感情を抑えられず家族を怒鳴ったり、八つ当たりをしてしまうことさえあります。特に、この感情にまかせて怒鳴られたり、八つ当たりをされた理不尽な経験は、心の奥に傷として深く刻まれてしまいます。
これが、自分が悪いことをして、注意され説教をされたのであれば、少々厳しく怒鳴られても自分が悪かったのだと、ある程度は納得ができます。しかし、その場合でも、どうしてもっと愛情を込めて優しく諭(さと)してくれなかったのかという思いにより、心の傷として刻まれる場合が多いのです。
以上のような、不快で悲しい怒りや憎しみ、復讐にさえ至る感情は、出来事とそのときの感情を蓄積する潜在意識(せんざいいしき)に浸透して行きます。
本来、家族間の愛情に満ちた経験を積み重ねるべきことが不快な負の感情による経験を積み重ねてしまうのです。
これにより、心の奥底に本来築かれるべき家族の愛情の基盤にひずみが生じて、それを無意識のうちに解決しようとして色々な言動を重ねて行くことになります。
今日のように複雑に進歩した社会では、数十年前に比べて精神的な悩みを抱えた人が多くなりました。
そのようなことから心理学的な事柄に関する情報が、テレビや新聞、インターネット、書籍などの情報メディアをとおしてたくさん広まっています。そのような心理学に関する多くの情報の中で、「潜在意識(せんざいいしき)」については多くの人がどこかで聞いたことのあるものです。
また、ほとんどの人が、潜在意識についてはぼんやりとしてではありますが意味を知っています。字面(じづら)のとおり、「心の奥底に潜在する意識」のことのように解釈していると思います。潜在意識の意味については、それで大きく誤ってはいないでしょう。
しかし、この潜在意識の正体や、どれだけ普段の生活に大きく影響を及ぼしているかを知っている人は少ないと思われます。
では、潜在意識について簡単に説明します。わたしたちが、普段意識している意識は、「顕在意識(けんざいいしき)」と呼ばれています。それに対して、その奥にある自分では気づかないが、無意識の思いや言動を大きく左右する意識が潜在意識です。意識のほとんどは潜在意識がしめていて、顕在意識は意識全体の氷山の一角にしかすぎないと昔から言われていました。
最近では意識全体に対して、潜在意識は97パーセントにもなり、顕在意識はたったの3パーセントにしかならないととなえる心理学者がいます。
意識は感情と深く結びつき、その後の言葉や行動に直接、影響をおよぼします。また、自律神経にも大きな影響を与え、場合によっては深刻な病気にいたることもあります。
潜在意識は、生まれてからの出来事をすべて覚えていると言われています。
それも、その出来事が起きたときの、その人が抱(いだ)いた感情を含めて覚えているのです。
この潜在意識に蓄えられた膨大な過去の出来事とそれにともなう感情が、ときには顕在意識の理性や良心をおさえて不可解な感情的な言動を引き起こすのです。
前項の『潜在意識について 根寿徒然 No.2』に続いて、潜在意識の影響について具体例をあげて詳しく説明しましょう。
それは例えば、このようなことです。
よくあることですが、父親から厳しいしつけを受けていたAさんのお話です。
Aさんは、親を大切にしたい気持ちがあり、同時に親から愛情を受けたい、そしてそもそも親に逆らってはいけないと思い、厳しいしつけに耐えて親の言うことを聞く良い子でした。
しかし、Aさんが成長するにつれて、Aさんは、すぐ感情的に理不尽(りふじん)にしかりつける親に対しての怒りの感情が大きくなって行きました。
子供の些細(ささい)な失態に対して、それをたしなめるのにはあまりにも厳しすぎる親の言動に対して、子供は、許せない復讐(ふくしゅう)の感情さえもつようになる場合があります。
このような状況でもAさんは、自分を育ててくれた一家の大黒柱(だいこくばしら)である父親に復讐するわけにはいきません。
父親はもちろん不完全で、Aさんが思う理想的な愛情をもって育てられなかったにしても、やはり一人の父親としてできる限りの愛情をたくさん示してきましたし、厳しさも子供を愛するがためだとも思ってきました。
Aさんは、その誠意がよく分かるので、親に対して感謝の念をもち親子の絆は深まります。
これで、一件落着のように思えます。ほとんどの場合は、これでおおむねおさまります。
しかし、このAさんが大人になり、社会人となって生活をする中で、潜在意識に潜む父親への怒りと復讐の感情の膨大な蓄積から大変なことを引き起こす可能性があるのです。
Aさんが、社会人になって、ある会社で働くようになったとしまします。
Aさんは、入社したばかりで右も左も分からない状態だったので、職場の上司たちは優しく親切でした。
一昔前では、厳しい男性の年輩上司がたくさんいて、パワハラやいじめが横行して大変でしたが、人手不足の今は、そのようなことをしたら入社したばかりの人は、すぐにやめてしまいますので一昔前より配慮をするような傾向にあります。
Aさんの新人教育の担当者は、Aさんと同じ部署の怖い顔をしているが、実直な性格で優しく親切に面倒をみてくれるおじさんのB上司となりました。
最初は低姿勢で謙虚に指示を聞いていたAさんでしたが、やがてB上司への態度が変わっていきました。
B上司に対して、普通の人なら全く気にならない些細な言葉のつかい方を不快に感じ、反抗的な言動をするようになったのです。
それは、このようなことでした。
B上司:
「ほら、あなたが昨日言っていた便利なクリップを買ってきたよ。これで、大切な書類を整理するのが楽になるだろう。」
Aさん:
「これだけの書類は、このクリップがなければB上司の指示するような整理ができません。B上司の買ってきたよという言い方がおかしいです。最初からこのようなクリップを準備して、仕事を頼むべきです。」
B上司は、Aさんから「ありがとうございます。これで、作業が上手に早くできます。早速(さっそく)お願いを聞いてくださり、ありがとうございます。」のような、社会人としてごく一般的な返答が帰ってくるものと思っていました。
ここで、思いもかけない反抗的な言葉が返ってきたので、びっくりしたB上司は、すぐに返す言葉がありませんでした。
B上司は、年配者としての度量のなさをさらけ出すようなことはしたくなく、そもそも年下の者と些細なことで言い争うのもいやだったのでその場は黙っていたのです。
このことは、たまたまAさんが何かのストレスでイライラしていたので、優しいB上司にあたりちらしたのかもしれません。
しかし、AさんのB上司を小馬鹿にした攻撃的な言動は、その後も続きました。
B上司:
「昨日、急ぎの連絡ができたので、スマホにメールを送っておいたよ。今の若い人にあわせて、絵文字やわたしの好きなキャラクターを添付してみた。どうだった。」
Aさん:
「スマホに、絵文字やキャラクターの画像を添付されるとメモリーを消費して大変なので二度としないでください。仕事のことなので、必要最小限の情報だけを送ってください。第一、B上司のようなおじさんが、絵文字とかキャラクター画像なんて気持ちが悪いです。」
AさんとB上司の関係は、万事このような具合になりました。
Aさんは、その後も図に乗って、優しくて親切なB上司に悪口雑言(あっこうぞうごん)を繰り返しました。
このような状態だったので、Aさんが入社してから1ヶ月をすぎた頃、Aさんのいつもの失礼な発言に、とうとうB上司は堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が切れました。
いつものAさんのあまりの言葉遣いの悪さに我慢ができず、B上司は、職場のたくさん人がいる前で、大声で厳しく怒鳴りつけてしまったのです。
今までB上司が、職場でそれほどまでに大声で怒鳴ることはありませんでした。
誰が見ても親切に対応していたB上司に、一方的に失礼なことをしていたAさんが悪いのは明白でした。
普段からAさんの失礼な言動を見ていた周りの人たちは、B上司が怒鳴るのはもっともだと思い、だれもB上司を悪いとは思いませんでした。
それどころか、Aさんの失礼三昧(ざんまい)は社内でも噂になっていて、B上司の他にもAさんから不快な思いをした被害者がでていました。
B上司はそれ以来、親切な行為を土足で踏みにじるAさんに愛想がつき、声をかけないどころか見向きもしなくなりました。
これらのことからAさんは、会社に居づらくなり無断欠勤が少し続いた後、会社を辞めざるを得なくなりました。
それからAさんは、うつ的な状態になり、家に引きこもるようになりました。
これは、客観的にみれば誰が見てもおかしなことであり、攻撃的で場合によっては相手の名誉を傷つける犯罪にさえなることです。
でも、Aさんにとっては、まじめな強面(こわおもて)のしっかりとしたB上司が、まるで自分の父親のような人に見えたのです。
Aさんは、潜在意識の奥底にある今までの人生で父親から厳しく怒鳴られた記憶により、いつか復讐をしようと機会を探していました。
そして、B上司のような父親に似ていて実直に生きていく人を見て父親とイメージが重なりました。
しかもAさんは、復讐しても仕返しをされそうもない、B上司の優しくて親切なことをいいことに、やりたい放題のことをしてしまったのです。
でも、相手はあくまでB上司であり、本来復讐するべき父親ではありません。
いくらB上司に復讐しても、父親への復讐をしたことにはなりません。
このことからB上司に復讐の攻撃をしても、父親にしているのではないので、いつまでたっても気持ちが解決することがないのです。
そして、父親には、どんなに復讐心があっても攻撃はできず、親からの愛情は断ち切りたくありません。
ここで大きな問題の一つが、そのようなとんでもない赤の他人への代償復讐行為を、本人は潜在意識から正当な行為と判断していることです。
それどころか、その自分を苦しめた人を他の人たちも自分と同じように不快と思っていると判断して、自分や他の人を苦しめる悪い人間を懲らしめる正義の使者との認識さえももってしまい、どのような攻撃も正当化して潜在意識を満足させてしまうことさえあるのです。
そして、このような親からのしつけに関する生育歴の傷は、ほとんどの人が程度の差こそはあっても、もっているために周りの人たちも潜在意識のレベルで、考え方・感情が一致してしまい、言葉や行動で正当だと思う集団攻撃を行ってしまうことがあるのです。
前記の『潜在意識の影響 根寿徒然 No.3』では、生育歴において父親と子供の関係で生じた心の傷は、その傷が発生した出来事とともに、そのときの感情をともなって子供の潜在意識内に次々と蓄積されることを記しました。
そして、その潜在意識内に膨大に蓄えられた感情をともなった心の傷が、ときには恐ろしい復讐という攻撃をしてしまうことがあることも記しました。
さて、ここで新入社員のAさんが、上司のBさんにとった目上の上司に対しての失礼三昧(ざんまい)の言動について客観的に考えてみたいと思います。
例としてのお話だったので、Aさんの失礼な行動の原因は、生育歴における父親の高圧的な態度にありました。
では、この理由が別の理由だったとして、新たに新入社員のAさんが、上司のBさんにとった目上の上司に対しての失礼三昧(ざんまい)の言動について考えてみます。
新入社員のAさんがとった態度の理由を、上司のBさんは、どのように推測したことでしょう。
上司のBさんは、前記の例題設定どおり、親から高圧的な指導を受けて育ったのではと推測した可能性はあります。
でも、新入社員のAさんが、上司のBさんにとった失礼な言動の原因は、他にもたくさん考えられます。
前記の例ではAさんは、男子か女性かは明記していませんでしたが、ここで女性だったとして考えてみます。
Aさんにとって、B上司は、
・以前に、痴漢にあったときの犯人の男性に容姿が似ていた。
・口臭や体臭が臭くてつらかった。
・笑顔で話されるのが、馬鹿にされているようで頭にきた。
・「Aさん」と呼べばいいのに、時々「Aちゃん」と呼ぶことがあるのがセクハラに感じた。
・時々、顔をじっと見ていたり、胸や腰の部分をチラチラ見るのがいやらしかった。
・職場で、自分の奥さんや子供の愚痴を言うのが腹立たしかった。
・帰りに一緒に食事や、飲みに行くようにしつこく誘うことがある。
・えらそうに成功談や人生訓を語りたがる。
・学生だったときの、嫌いな担任の先生に似ていた。
・服装のセンスがおかしく、着こなしがだらしなくて服も汚い。
・失敗したときなどに、口を「チッ」とならしたり、咳払(せきばら)いをしてうるさい。
・上司のBさんが笑ったとき、Aさんを馬鹿にして笑ったと思った。
・この会社しか入社できなかったが、本当は別にあこがれの会社があった。
・期待して入社したが、予想と違って満足できない会社だった。
・せっかく給料が入っても、親の借金や奨学金の返済で全く経済的な余裕がない。
・生理的な問題が長続きして機嫌が悪かった。
など、など・・・
ざっと、15以上の理由を考えて記してみましたが、これを読んでいるあなたは、他の何かの原因を考えたかもしれません。
しかし、どれだけ多くの理由を推測しても、正しい理由が分かるとは限らず、そもそもどれが正しい理由かは本人にしか分かりません。
もちろん、他の些細(ささい)な、あるいは重大な理由があるのかもしれませんし、いくつかの理由が組み合わされているのかもしれません。
また、かならずしも本人が、完全に正確な理由が分かるとは限らないのです。
「なぜ、あなたは、そのようなことをしてしまったのですか。」と聞いても、「何で、そのようなことをしたか自分でもよく分からないのです。」と人は、答えることがよくあるものです。
93パーセントもしめる潜在意識を、わずか3パーセントにしかならない顕在意識では、その正体が完全には分からないのです。
そのような状態で、意味不明な行動をしてしまうことがあるからこそ、心理カウンセリングをして、その理由を探り自らの力で気がつくように導く必要があるのです。
以上に記したことで、分かったと思いますが、何か問題が生じたときに自らの狭い見識で、たまたまの思いついきから他人の心理分析をしても正確に分析をすることは困難であることが容易に分かります。
また、正確に分析ができたとしても、人間というものは、誰かに心を見透かされたり、わしづかみにされたり、恥ずかしいことを知られるのがいやなものです。
このようなことから、人の心理に興味をもちすぎて間違った心理分析によって断定することにより、大切な人間関係に災いをもたらすことがよくあります。
最近では、『心理学入門』のような本が、書店やコンビニでさえも千円前後でたくさん売られていて心理学が大ブームになっています。
これらの本を読んで、安易に他人の心理が分かったと勘違いをしないことです。
勘違いにより、相手を傷つけるどころか、自分自身が相手を誤解して傷つき、悩み苦しむことにもなりかねません。